京都教育大学附属高等学校 SSH行事

2005年9月22,26,27日  2年生SSHクラス 「エネルギー科学T」
   センサー・プロジェクト

昨年度に引き続き,SSH特別授業としてセンサープロジェクトを実施しました。講師に京都教育大学物理学教室の谷口先生を迎えました。
今年は,27日(火)は朝から夕方まで京都教育大学物理実験室で行いました。


1日目 (9月22日)
この日は2時間かけて,電気回路の基本となる事項を実験中心に学習しました。多くは中学理科の復習や確認です。
全体的な概括を話したあと,いろいろな電池(新品の乾電池や使い古した乾電池,ボタン電池,携帯電話の電池とその充電器の端子など)の電圧をデジタルマルチメーターで測定したり,家庭用交流電源の電圧を測定し,アースの存在を実験的に示したりと,これからの学習内容にとてもワクワクするような2時間でした。
 


2日目 (9月26日)
この日も2時間の取り組みです。中学で学ぶオームの法則や,複数の抵抗を直列接続するときの合成抵抗の計算方法などを思い出しながら,すべて実験で確認しつつ進みました。

さらに,定抵抗可変抵抗を直列接続し,可変抵抗を変化させると定抵抗の電圧はどのように変化するのかを,実際に測定しながら調べました。また同時に電位分割という概念も提示して,この概念を積極的に用いて電気回路を理解することに重点を置きました。

写真左はその実験の様子。
写真右は結果を黒板で表したもの(フリーハンドで少々わかりにくいですが)。横軸は可変抵抗,縦軸は定抵抗の電圧。グラフに線が5本あるのは,定抵抗を5種類用いて交換して行ったものです。
 

実際のセンサーシステムでは外界の変化・・・・たとえば温度や明るさ,ドアの開き具合,接触の有無など・・・・を電気信号の変化としてとらえます。つまり可変抵抗をセンサーに置き換えて考えればよいということに気がつくと思います。


3日目 (9月27日)
本日は8:30に京都教育大学物理学教室に集合して,17:00まで実施しました。
午前中はセンサープロジェクトの取り組みで,10班(各テーマ2班×5テーマ)が下記のようなセンサーシステムを製作したり,センサーを用いて未知のことを調べます。
テーマ 用いるデバイスなど
A 明暗を光で知らせるセンサーシステムの製作 LDR(光依存性抵抗)
LED(発光ダイオード)
B 明暗を音で知らせるセンサーシステムの製作 LDR(光依存性抵抗)
電子メロディ
C 熱いことを光で知らせるセンサーシステムの製作 サーミスタ
LED(発光ダイオード)
D デジタル温度計の製作 サーミスタ
デジタル電圧計
E 光の急激な変化を調べる LDR(光依存性抵抗)
フォトトランジスタ
テレビのリモコン
午前の部
谷口先生は各班を回り,アドバイスをしてくださいました。


まずは扱うセンサーデバイスや,電子メロディなどの特性を調べる実験をします。
その上で,どのような温度で知らせてくれるようにするのか,どのような暗さになったら知らせて欲しいのかなどを話し合い,定抵抗を選択したり,電源電圧や回路設計を考えます。


いち早くできた班でも,よく回路を見てみるとなんだかおかしい場合や,説明を求めても理由が乏しく,試行錯誤的にできただけで応用の利かない回路であったりします。そこを電位分割の復習をしながら回路の意味を考えて,設計し直します。
遅い班は昼になっても実験のめどが立たず,ずーっと取り組んでいました。
早い班はすでに午後の発表に備えて,プレゼンテーションを考え始めています。


なお昼食時間を一律には設けず,各班の状況に応じて40分程度とるように指示しています。余裕のある班は大学の食堂でランチを楽しんだり,大学構内を散策していました。(このあたりは理系大学生の実験によくあるパターンですね)


午後の部
昼食後はプレゼンテーション準備です。それぞれの班が取り組んだ内容や目的,成果などを報告しあいます。各班8分以内で発表するため,無駄を省いて要点を押さえたものにしなければなりません。またデモ実験をする場合は1発で成功しなければならず,大変です。

発表では,どの班も各デバイスの役割や回路図による仕組みの説明がうまくなされていました。







中にはパワーポイントを用いた発表で,とても分かりやすいものもありました。
すべての班の発表に対して谷口先生からコメントをもらいました。今後の学習に役立てて欲しいと思います。