京都教育大学附属高等学校 ベーシック・サイエンス


考える科学の授業
京都教育大学物理学教室の谷口先生による『考える科学の授業』を行いました。今回は分類の方法をグループ毎に考えて、他のグループが何を基準にして分けたのかを考えたり、自分たちと何が違うのかを説明したりする授業です。周囲の認知レベルを考えて、皆が納得する説明ができるようにするための実験的な授業です。このような学習を繰り返し挿入することにより、科学的に考える能力や科学的な説明能力が向上することを期待しています。

音声波形の実験
生徒1人1人が自分の『あ』『い』『う』『え』『お』音声波形のデータをコンピュータに取り込み、波形から声の高さや大きさが読み取れることを学習しました。また、誰についても『あ』に聞こえる波形の共通点がどこにあるのかも波形から分ることを学習しました。各自の音声波形を印刷して持ち帰りました。

金属の炎色反応
まず、金属の元素により特有の光を発する様子を肉眼で観察し、自分で感じた色の名前を記入し、色鉛筆でその色を再現しました。次に、前回自分で作成した分光器を用いて金属の炎色反応を観察し、肉眼では赤色に見えてもスペクトルを見ると青や緑の輝線スペクトルが含まれていることを確認しました。なお、この授業は化学の知識のない1年生に対して実施しているため、化学の教科書で表記されている色名は教えずに自分の感じた色を自分の言葉で表現させるようにしています。

分光器をつくろう
@は型紙通りにはさみで切り抜いているところ、Aはのぞき窓用の丸い綺麗な穴をあけているところ、Bはスリットと分光シートの向きの調整をしているところです。出来上がった分光器で窓の外の明るい部分をみると綺麗な虹色が見えてその美しさに感動します。

静電気の実験
高電圧発生装置ブァンデグラーフにより人間に電気を蓄えるとどうなるか、及び塩化ビニル棒と荷づくり用のテープを用いて電気クラゲの実験を行いました。

簡易偏光顕微鏡による岩石薄片の観察
簡易偏光顕微鏡を用いて岩石薄片の観察を行った。偏光板を用いずに観察すると鉱物の形が分りにくいが、偏光板に挟んで観察すると干渉色により鉱物の結晶ひとつひとつが異なる色で観察できるため容易に結晶の形を確認できることを学んだ。また、今回は楽しく学習するために色鉛筆を用いてスケッチを行った。ステージを回転させることにより明るさの変化などから鉱物の種類を特定できることなども学習した。


本当に光は波の性質を持つのか
2枚の偏光シートを用いて光が横波であることを確認し、天然の方解石を通り抜ける光が振動面のそろった偏光であること及びプラスチックのカップを偏光シートで挟んで観察すると干渉色により虹色が見えること等を確認した。


原子の構造と電子配置の学習
この後2学期末まで続く『光の波の実験』『偏光顕微鏡による岩石薄片の観察』『簡易分光器をつくろう』『炎色反応の観察』の授業の科学的な基礎固めとして、先週と今週の2時間連続の授業で、周期表を用いながら原子の構造と電子配置について学習しました。

加速度を求めよう
力学台車が斜面を真っ直ぐに下りていく運動を紙テープ記録タイマーを用いて測定し、得られたデータからグラフを作成し、加速度を求めた。長い斜面と大きな分度器を使ってダイナミックに実験を行いました。

近点・遠点の測定
眼の遠近調節の仕組みを学習するために、各自が眼の近点・遠点を測定しました。

開平運算の仕方
1学期に片対数グラフ用紙を用いて作成した計算尺を用いて平方根の学習をした後、ルートの開き方について学習しました。

石灰岩の表面を磨いてフズリナを観察
磨き始める前はただの石ころに見える石灰岩、本当に化石が入っているのかと疑いながら生徒たちは一生懸命磨き続けます。授業の終わる頃にはピカピカのフズリナ化石の標本の出来上がり。自分のつくった化石標本は各自が家に持ち帰りました。

箱カメラ
前回の光の屈折の学習の発展として実際に目の網膜への結像の原理を箱カメラを用いて学習した。ピンホールや凸レンズを付けて、スクリーン上に写る像の明るさやピントの合い方が異なること及び凸レンズの枚数(レンズの厚さ)に対応してピントの合う位置が異なることを学習した。

固体の密度を求める
立方体の金属3種類と合成樹脂4種類について密度を求めた。ノギスを用いて長さを精密に測定し、物理天秤を用いて質量も精密に測定した。また、得られた測定値の有効数字について測定値の意味を考えながら正しい計算処理の仕方について学習し、得られた物体の密度の精度について考察した。

光の屈折と光の三原色
赤、青、緑の3種類のLEDを用いて屈折率を求め、全反射を直接肉眼で観察し、凸レンズと凹レンズを通過する光線の進み方を直接肉眼で観察した。また、光の三原色を混ぜると白色光になることも確認した。

物理天秤の使い方
授業開始の挨拶のあと、物理天秤の使い方の実習を行いました。最初に物理天秤を使える状態にするための準備の仕方をビデオをみながら1つずつ操作手順を学び、調整が済んでから身近な物の質量を実際に測定しました。100分の1まで測定できる副尺の原理についても学習しました。

有効数字
ものさしやマイクロメータを用いて得られた測定値がどのレベルの精度で有効であるのかについて学習しました。また、実験により得られた測定値を用いてどのように計算処理をするのか、科学的なデータの処理の仕方についての学習をしました。さらに今回は授業のあと測定値の足し算や掛け算の計算練習の宿題もかされました。


双眼実体顕微鏡の使い方
両目で立体的に観察をすることができる双眼実体顕微鏡の使い方の学習をチリモンの観察を通して行いました。
スケッチの仕方
チリモンの観察を大学の研究機関などで使われている高性能の繰り出しルーペを用いて観察しながらスケッチの仕方の基本の学習をしました。

『計算尺をつくろう』の授業風景
2時間目の授業内容は『計算尺をつくろう』です。写真一番上は本物の計算尺を見せているところです。パワーポイントを用いて計算に関する歴史的なエピソードなどを紹介し、掛け算や割り算を足し算や引き算に置き換えて考える原理が計算尺に用いられることも説明しています。生徒は片対数のグラフ用紙を用いて計算尺を作成し、自分の作った計算尺で練習問題に挑戦しました。


ベーシック・サイエンスについて
本校ではSSHの取り組みの1つとして、第1学年の授業科目に学校設定科目『ベーシック・サイエンス』を独自に設置しました。理科(物理・化学・生物・地学)の各領域の基礎・基本となる事項、各領域にまたがった内容などを扱います。また、中学校の教科書に出てきた内容を実験で確かめてみたり、高校で今後学習する内容に関連する事柄を体験したりします。さらに、身近な電子機器などのしくみや原理を実験したり確かめたりもします。
写真左はベーシック・サイエンスの授業内容についての最初の説明の様子、写真右は30年前に実施した理科診断テストと同じ問題に生徒が取り組んでいる様子です。本校では30年前と現在の生徒の理科の知識や考え方の違いなどについても研究として取り組んでいます。