京都教育大学附属高等学校 SSH行事

2005年11月4日〜18日  3年生SSH 「エネルギー科学 II 」
   物理探究実験(パート1)

教科書が一通り終了するのを待って,標題のように物理探究実験を企画しました。
パート1というのは,18日以後に同じテーマ群で取り組む班をチェンジしてパート2を実施するためです。

ねらい
ある程度時間をかけ,未知のことがらや物理学史上重要な発見となる事項について探究的手法で実験に取り組む。班で話し合うことにも重点を置いて今回のプロジェクトを計画している。実験テーマは班毎に異なる。さらに自己の研究を他者に伝え,理解を図ることも重要であり,発表会にも取り組む。

テーマ
 次のテーマを8つの班が別々に担当し,研究する。
テーマ 内    容
動画を利用した運動の解析 家庭用デジタルビデオカメラで撮影した映像を解析するソフトが「ビデオポイント」である。これを用いて,さまざまな運動の変位や速度,加速度,などを調べることができる。
プランク定数測定・電波の性質 物理定数の中でもプランク定数は現代物理に欠かせない重要な定数です。しかし測定方法が難しく,高校で取り組んでいる生徒は少ないと思います。光電効果を利用して測定してみましょう。
電波は電磁波の一種であることは学習したが,波のいろいろな性質を実際に実験で調べてみよう。
比電荷測定 重要な物理定数のひとつに「電子の比電荷」がある。ローレンツ力を受ける電子の円運動から実験によってこの値を求める。
電気素量測定 電気の最小単位(電子の電気量の絶対値)が電気素量eです。この定数は19世紀末にその存在が認められ,20世紀初頭のミリカンの実験によってその精密値が求められました。「eは,単に物理的または化学的定数中最も基本的なものであるのみならず,近代物理学の数値的問題を解く上に最大の重要さを持つものの一つである」とはミリカンの言葉。
リモコンの信号 テレビやビデオ,CDプレーヤー,エアコンなどリモコンは身近なものです。これらの多くは赤外線を利用しています。でも本体とリモコンが違っていれば,まったく受け付けてくれません。リモコンから赤外線に乗って送られる信号(情報)は一体どのようになっているのでしょうか。
交流の位相 交流においては,抵抗を流れる電流は抵抗の両端の電圧と比べて位相差が0である。しかしコイルでは電流の位相が遅れ,コンデンサーでは電流の位相が進んでいる。電圧センサーや電流センサーを用いて電圧と電流の瞬間値を測定することにより,電圧や電流の変化の様子および位相差を調べることができる。またリアクタンスについても考察してみよう。
ギターを調べる ギターはよく見かける楽器の一つで,音楽の授業に使われたり,音楽番組でもよく見ます。ギターを弾ける高校生もいるでしょう。ギターの音階に伴う弦の長さや振動数はどのような規則性があるのでしょうか。バイオリンやコントラバスなどギターに限らず多くの弦楽器に当てはまることについて,実験によって調べてみましょう。
光センサーを用いた実験 時間分解能の精度がよい光センサーを用いた照度測定により,肉眼では分からない光関連実験に取り組んでみよう。とりわけ周期運動に着目する。



実験中および発表時の様子
動画を利用した運動の解析
リモコンの信号
電気素量測定
プランク定数測定・電波の性質
交流の位相
光センサーを用いた実験
比電荷測定
ギターを調べる