国 語


基礎力充実から想像力・論理力を高める授業
多彩なとりくみと楽しめる企画の実施
 現代文分野 

 現代文,基礎力充実の第一は,「しっかり読む」ということです。その意味で音読はとても大切なことであり,現代文・古典を問いません。第二は「漢字をより多く身につけること」です。漢字は知識知恵の宝庫です。第三は,「よく辞書を引くこと」です。国語科では,これらの基礎教育をとても大事にしています。

 応用力の養成にはまず「想像力を重視したい」。辞書の意味を知っただけで文章の意味を知ることができるわけではありません。筆者・作者の思いに近づくためには,文脈に寄り添う必要があります。そのときに想像力が力を発揮するのです。何かを伝えようとして表現している,それを豊かに受けとめるためには,客観的,論理的に,主観的直感的に,両面から近づくほかはありません。

 古典分野

 古典は楽しく読み味わいたいものですが,適切に鑑賞するためには正確に本文を理解することが大切という前提に立って,古典文法や漢文の句法を丁寧に学習します。その上で,研究に支えられた豊富な教養を混ぜながら,独特で情熱的な授業を展開します。難関大学の受験も,本校国語科の授業をしっかり聞いて学ぶだけで十分対応できます
 補習授業

 平素の授業を補うものとして,基礎補充(最も基本的な分野について,正しい考え方や効果的なスキルを補います。)・進学補習(さらに確実に入試問題に対応するために,問題演習を中心として重要項目を整理していきます。希望者対象。)を,学期中の0時間目や7時間目,および長期休暇中に設置しています。

 授業外の取り組み 

  「ことば」に対する興味・関心を広げながら,目に見える到達ラインを設定して,読み書きの実力を養成していく一助として,「漢検」(日本漢字能力検定)や「文検」(日本語文章能力検定)などを,積極的に取り入れていきます。また,すぐれた文章をどんどん読み進めていけるように,現代文(評論・随想)や古典(古文・漢文)の著名な作品を,新書や文庫を中心に多数常備し,「多読指導」を展開していきます。

 現在,古典の読書会として「源氏物語を読む会」を放課後に行っています。その読書会を種類も増やしながら継続・発展させていきます。「史記を読む会」として,まるでパズルを読み解くように楽しく漢文を読んでいく会も予定されています。また,京都の地の利を生かしたフィールドワーク(京都御所,源氏物語ミュージアムの見学など)を計画しています。




社 会


知識だけでなく「考え方」を大切にした授業
野外観察や博物館見学の企画
 公民分野 

 公民科は『現代社会』を1年生で学習します。政治・経済・国際社会の学習ですが,そこで大切にされるのが,知識と同時に,「調べる」・「話し合う」・「まとめる」・「発表する」という力です。授業でも,一人ひとりのみなさんがこのような力がつくように進めていきます。

 また,発展学習として『政治経済』もおかれていますが,そこではテーマを決めて発表をしたり読書指導や,裁判所など教科と関連の深い場所に実際に出かけたりしています。また,特別講師として大学の先生にお願いをして,専門の分野(例えば教育基本法やイスラム教など)の授業をしていただいています。

 地理分野 

 中学校では「日本の地理」を中心に学んだと思いますが,高等学校の地理では「世界の地理」が中心になります。
 次に高等学校では大きく3つの学び方で学びます。1つは「系統的学習」といって,世界の地形,世界の気候,世界の農業…というように,事象ごとに取り上げていきます。2つめは「地誌的学習」といってアメリカ合衆国の地誌,ヨーロッパの地誌…などのように地域ごとに学びます。3つめに,人口問題,食糧問題,民族問題のように「現代課題を地理的に探求」します。

 地理では空間的に考えることが大切です。具体的には地図の上で考えることです。したがって,授業では略地図をどんどん描いて,その中にいろいろな事象を記入していきます。あるいは地図に彩色したり,地図から読みとったりすることを大切にします。その作業が地理の力をつけることになります。また,地理では現場(フィールド)を大切にします。希望者を募って野外観察(巡検と言います)や調査を行っていきます。海外の現場(フィールド)は,海外研修旅行(マレーシア)が大いに役立ちます。
 歴史分野

 歴史の勉強は,中学時代と違って世界史と日本史という別々の教科書を使って勉強します。教科書も分厚くなります。
 本校の場合には,ほとんどの人が大学進学を希望していますので,それを念頭に置いた授業をすることは当然のことと考えています。ただ,それだけしか考えない授業ではありません。歴史学習は過去の史実に基づいた学習です。附属高校には実物大の複製品が多く所蔵されています。また,普通であれば活字になった資料を使って学習するところを,昔の人々が記録したそのままの資料を使って授業を行うこともあります。これが歴史の力をつけてくれます。

 ところで,歴史の舞台を実際に見るという経験は多くの人ができることではありません。外国史についてはもちろんですが,日本史についても同じです。京都はその点ではずいぶん恵まれています。織田信長や豊臣秀吉,さらに徳川家康らが,あるいは法然や親鸞,あるいは栄西や道元,多くの歴史上の人物にちなんだ場所を訪ねることは歴史への興味を呼び起こしてくれます。また,京都には多くの博物館があります。博物館見学の機会を増やして興味を深めていきます。また,本校では「異文化理解」をテーマとした研修旅行を行っていますので,東南アジアの歴史への関心を深めるきっかけとなっています。



数 学


バランスのとれた「基本と演習」の指導
スーパーサイエンスの研究成果を発展継承
 基本と演習

 数学科は伝統的に基本と演習を大切にしてきました。この2つをバランスよく取り入れています。具体的には授業の半分を教科書の学習に,他の半分を指定問題集の学習にあてています。

 日本の数学教科書は必要事項をコンパクトに収めています。無駄なことは何も書いてありません。(簡潔すぎて無味乾燥なくらいです。)でも人々が数学の話をするときの国民的共通基準です。ところが大学受験対策を重視するあまり,教科書を無視,軽視する高校があります。しかし本校は違います。教科書で数学の基本をきちんと教えています。

 基本ができたら次は演習です。問題を解くことを演習ということにします。数学ではこの演習はとても大切です。授業の前半において教科書で理解した“定義”(言葉の約束のこと),“定理”(知っていると便利な性質のこと),“例”などを,演習によって定着させることができるからです。本校が指定する問題集は難易度でいえば”難”にあたります。しかし授業でそれらの考え方と解法を指導します。その結果生徒はこれらの問題を解けるようになります。また,難関大学へ合格する力が身についていきます。

 ところで2005年4月からは本校は授業時間数を増やす改革をします。その結果1年,2年理系コース選択者は,前年度までよりも数学を週1時間余分に学びます。その増加した時間の多くを上で述べた演習に割り当てます。ハイレベルな問題を解く力をさらに伸ばすことができるでしょう。
 スーパーサイエンスの継承科目

 カリキュラム表(教育課程表)に「解析T」「代数幾何」を2年生の理系に,「解析U」を3年生の理系に載せています。これらは数学の科目名です。

 2002年,文部科学省は本校を”スーパーサイエンスハイスクール”(SSH)という研究開発校に指定しました。期間は3年間です。その結果,本校は学習指導要領の枠を超えて科目を作り学習内容を研究することができるようになりました。そのとき生まれたのがこれらの科目です。でも「自然科学コース」の生徒だけしかその授業を受けることはできませんでした。

 さて,2005年4月はその研究期間3年間の節目です。そこで本校はSSHを1学年1クラスだけから理系コース全体に継承発展させていくことにしました。これまでに得られた成果を,より全校レベルで生かしていこうというわけです。それが他の高校と違う名前の数学科目が並んでいる理由です。

 数学科は2002年以降3年間,新しい内容(たとえば「フラクタル」という数学分野の学習,学習単元の合理的再配置),新しい方法(たとえばグラフ電卓の利用,テレビ会議システムを使った海外との協同学習),等を研究してきました。

 授業外の取り組み 

 数学科の課外活動として数学クラブがあります。クラブ員は数学オリンピック予選問題を研究しています。そして毎年1月実施の数学オリンピック予選に参加します。高校2年生までが数学オリンピック予選出場資格です。一生のうち参加可能な時期は高校時代の数年間だけです。数学をするのが好きな人の参加を待っています。



理 科


自然現象の法則性の理解とその体系化を重視した授業
実験実習を多く取り入れた授業


身の回りの自然現象の法則性を理解し,その体系化(構造の解明)に意欲的に根気よく取り組む姿勢を育てていくことを大切にしています。そのためにも実験実習を多く取り入れ,より体験的に主体的に取り組む授業を展開しています。また,平成14年度からのスーパーサイエンスハイスクール研究において開発された新しい教材を取り入れて,より興味深い授業を展開しています。
 物理分野

 物理分野における諸現象の理解を実験と講義の両面から促進する授業プログラムを構成しています。特に受験問題演習の高レベル化と将来の研究者を意識した探求学習のカリキュラム化を特徴とした授業を展開します。

 化学分野 

 昨年度,2年化学(自然科学コース)では「中和滴定」や「コロイド溶液」から「反応速度」など15テーマ,3年化学では「ナイロンの合成」「セッケンの合成」から「藍染め」など15テーマの生徒実験を実施しています(1テーマ約2時間)。常に自らが体験し,そこで疑問を抱き,その疑問を解決しながら学習する態度を育てていくことを目標としています。

 生物分野 

 生命科学をキーワードに,1年次はさまざまな生命現象(刺激に反応する,成長する,子孫を残す,関係を持ち合う,個体を維持するなど)を紹介し,その精緻に仕組まれた美しさに気づくことを目的とします。3年次では,それらの生命現象を分子ベルで説明することを試み,医・薬・農への応用的側面にも目を向けます。

 地学分野 

 地学分野では天体,地質,気象などの現象を実習や講義を通じて可能な限り実験室に持ち込み,理解を深められるように年間の授業計画を工夫しています。また,センター試験対策として空間図形概念や計算問題演習などに重点を置いた総合力充実をはかります。



英 語


早く,正確に,楽しく読めることを目指した多読指導
自分の意見を自由に英語で表現できる力を育成するライティング指導
 授業の力点 

 自立した英語学習者を育てるために,授業では次のような点に力を入れています。
 総合英語である英語Tや英語Uでは基礎力の充実に努めています。そのために,文の構造理解や音読を重視しながら内容把握につとめます。
 英語T・Uで身に付いた基礎的な英語力を土台にして,ライティングの授業では自分の意見や気持ちを自由に英語で表現できるよう自由英作文に取り組み,リーディングではできるだけ多くの英文を読んで読解力と速読力を高めます。

 単位増となる時間の授業展開

 第1学年では,「文法・LL演習」を開講し,高校生として必要な文法力を習得するための演習を徹底的に行います。
 第2学年では,「英語U」において,プレゼンテーションのスキルを身につける授業を目指します。具体的には次の2点です。
 

  1. プレゼンテーションスキル自体を習得するための学習を行い,それを活用して英字新聞や雑誌などを読み,読んだ英文についてプレゼンテーション(アウトプット)を徹底演習します。
  2. 「英語U」のテキストを読み,その内容について自分の意見を英語で書き発表します。それに対する反論をまた英語で発言するというようなプレゼンテーションの徹底演習を行います。
 独自の取り組み

1. 授業外での多読指導

 多読ライブラリーを充実し,初級者から上級者にいたるまで,生徒の要求にこたえられるように英語本を準備しています。その中で,生徒は自主的に多読に取り組み,早く,正確に英語を読む力を高めています。

2. 授業内に多読を取り入れる試み

 2年生文系の授業の中で,英文多読という科目を設置し,授業内で自分の好きな英語本を選び,自分のペースで読むということを行っています。

3. ALTとのティームティーチング

 2年生ライティングの授業の中では,教科書で得られる知識のほかに,ALTによる和文英訳の添削や,自由英作文の指導を受けることによって,英語母語話者に通じる英語表現を習得できます。